私たち小児科医は、未来を担う子どもたちの健康を守るというとても大切な役割を担っています。小児医療はますます高度化・細分化され、小児科医の役割は日に日に増えています。病気の軽い重いに関わらず、社会からの小児科専門医による診療のニーズも大きくなっています。私たちは、日々の診療や研究を通して子どもたちが健やかに成長できる社会の維持と向上に全力を尽くしています。
大分大学医学部は、1976年(昭和51年)10月に大分医科大学として開学し、2003年(平成15年)10月に大分大学と統合して誕生しました。大分市に近接した由布市に位置する美しい自然に囲まれたキャンパスにあります。小児期の幅広い専門領域(神経疾患、血液・腫瘍性疾患、内分泌・代謝疾患、アレルギー・免疫性疾患、感染症、循環器疾患、腎臓疾患、未熟児・新生児疾患など)に関する診療と、臨床研究・基礎研究を行っています。また、大分大学医学部附属病院の遺伝子診療室では、遺伝性疾患の遺伝カウンセリングを中心に、わたしたち小児科の臨床遺伝専門医が主な役割を担っています。また、がんゲノム医療、出生前診断や生殖医療技術の進歩により、遺伝子診療室の役割は多様化しその重要性が増しています。大分大学が担うがんゲノム医療連携病院や出生前検査認証制度認証医療機関として十分な責務を果たせるよう、認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医が診療各科と連携したゲノム医療を実践しています。
さらに大分県内の主要な病院と連携し、地域医療にも貢献しています。大分県立病院、大分市医師会立アルメイダ病院、大分こども病院、天心堂へつぎ病院、西別府病院、別府発達医療センター、鶴見病院、別府医療センター、国東市民病院、杵築市立山香病院、西田病院、恵の聖母の家など、県内の多くの医療機関に常勤医師を派遣し、行政の皆様、地域の医療関係者、学校関係者とともに小児医療の維持向上に努めています。
私たちは「子どもたちの将来のために、自分で考えて行動できる個性豊かな医師」に、仲間に加わっていただきたいと考えています。自立した医療者、教育者、そして科学者として、共に成長する姿勢を大切にし、そのために必要な環境を提供します。
卒後研修(小児科専門医研修)と専門医研修において、私たちはきめ細かい教育システムを提供し、すべての小児科医が各自の学修段階に応じた知識と技能を修得できるよう支援します。小児科専門医資格の取得後には、さらに専門性の高い、小児神経専門医、小児血液・がん専門医、周産期(新生児)専門医、内分泌代謝科専門医、糖尿病専門医、臨床遺伝専門医、腎臓専門医、小児循環器専門医、アレルギー専門医などを目指し、各学会認定のカリキュラムに沿った専門的な指導を行っています。さらなるキャリアアップのため、大学院進学、海外留学や国内専門病院の研修の機会を提供しています。
小児科領域の多彩な遺伝性疾患について臨床的・分子遺伝学的特徴を明らかにするため希少・未診断疾患イニシアチブ(IRUD)や医学部内の基礎系講座と連携し、分子生物学・分子遺伝学を共通基盤とした研究を展開しています。また厚労省研究班「遺伝性早老症」を担当し、超希少疾患のHutchinson-Gilford症候群の疫学調査と臨床研究を進めています。新生児の自発運動(GMs)評価と小児期の神経発達予後に関わる研究や、大分県内の自治体(大分県、大分市、津久見市、国東市など)と協働した、神経発達症の早期スクリーニング、新生児マススクリーニング、小児肥満と脂質代謝異常、小児虐待などの多くの保健分野において共同研究を推進しています。
専門診療や地域貢献のみならず基礎研究にも精通した小児科医を育成し、大分から世界に羽ばたく小児科医・研究者を輩出することが大分大学医学部小児科学講座の目標です。
皆様のご支援とご理解を賜りながら、未来の小児医療を共に築いていきます。