子育て経験を存分に活かせるのが
他科にはない小児科の魅力だと
思います。
私が小児科医になろうと考えるようになったのは臨床実習が始まってからです。
医師になりたくて医学部に入学したけれど、入学当初は自分が小児科医になるとは思ってもいませんでした。そもそもそんなに子どもが好きだったわけではなかったんです。
しかし臨床実習が始まるころには、その小さな身体で精一杯考え、行動して大人を驚かせ、周りを笑顔にできる「子ども」って面白いな…と思うようになっていました。小児科の実習では指導医に連れられて一般病院の外来を見せてもらいました。そこは明るく、未来に溢れている気がしたんですね。
私には3人の元気すぎる子どもたちがいます。
それぞれにとても個性的で、母として子育てには苦労してきましたし、日々悩むことも多いです。でもわが子に教えて貰ったことも沢山あります。受診した子どもや親御さんにかけるひと言、病気についての今後の見通し、看病するうえでのポイント。子育ての経験が小児科医としての私の診療の幅を広げてくれました。
私はいま、発達に偏りを持つ子どもたちの診療と療育、支援について勉強する機会を頂いています。それは医学部に入学した当初や小児科に入局した当時の私からは想像できない道です。まっすぐに突き進んできた道ではないけれど、子育てで苦労し悩んだ経験があってこそ今の私があり、その経験を存分に活かせるのが他科にはない小児科の魅力だと思います。
これからも子どもと親御さんに寄り添いながら、子どもたちの未来を少しお手伝いできる仕事をがんばっていきたいと思っています。