大分大学医学部小児科学講座

小児科専攻医の働き方とホンネ

小児科医としてスタートを切ったばかりの先生、小児科専攻医を終え、経験や学びを得て活躍されている先生。立場の違う4名の先生方に、小児科医の働き方や苦労、学んできたことを本音で話してもらいました。

(取材日:2022年7月28日)

現在の仕事内容を教えてください。

衛藤:佐伯の西田病院の小児科で外来や病棟の診療を行っています。大学病院よりもだいぶ一般的な診療で、軽症のお子さんがほとんどです。まだ専攻医1年目なので、先輩医師に助言いただきながら診療しています。

後藤:専攻医2年目です。大学病院の新生児科に所属しています。NICUの赤ちゃんの全身管理が主な仕事です。早産のお子さんをはじめ、呼吸サポート、点滴や抗生剤の投与が必要な患者さんを中心に診療をさせていただいています。

若山:小児科医になって4年目で、大学病院の小児科病棟で一般小児の診療を行っています。分野としては多岐にわたりますね。一般的な診療のほかに、救急の患者さんの対応や、指定病院からの紹介で来院された方の検査や入院のサポートを行っています。

西林:僕も小児科医になって4年目です。血液チームに所属して白血病などの診療をしています。全国的に統一された治療法があるので、それに則った基本治療を行いつつ、突発的な症状には+αで対応しています。

まずは、 小児科専攻医3年目未満の先生へ質問です。

どのような毎日をお過ごしですか?

後藤:平日の勤務は8時半から17時までです。NICUは当直の先生が常にいて、休日の患者さんの対応をお願いしているため、仕事とプライベートのオンオフはハッキリしていますね。

衛藤:私は平日は8時から病棟業務を行い、9時から17時半まで外来診療をしています。入院患者さんが少ないので、外来が終われば業務終了であまり遅くなることもありません。

西林:衛藤さんは、今の勤務ではオンコールがあるから大変ですよね。

衛藤:そうですね。週に3回はオンコールがあるので拘束時間が長いのがちょっと辛いときもあります。でも、休日はドライブと食べ歩きを楽しんでるんですよ!私も、オンオフはしっかり切り分けて楽しんでいます。おいしい物を食べるとストレス発散できます。

後藤:私は、休日は交代制です。午前中1~2時間ほど出勤して病棟業務を行い、あとは家でとにかくゆっくり、体を休めています。趣味は旅行ですが、コロナ禍のため最近は行けていないです。

衛藤:私、実は佐伯勤務になってからダイビングを始めたんです。佐伯の海でも「ニモ」がたくさん見られますよ。

後藤:ダイビング、楽しそうですね!今度連れて行ってくれますか?

衛藤:ぜひぜひ。一緒にしましょう!

西林:趣味は特にないんですよね…。休日はテレビを見たり、ゲームをしたり、身体を休めています。でも、今は取り組んでいる論文があるので、休日は論文に時間を費やしています。

若山:私は実家にトイプードルが2匹いるので、休日に帰省して犬とじゃれるのが癒しです。

小児科医として大変なことや、やりがいに感じることを教えてください。

後藤:大人と違って細かい管理をしなければならない点が大変ですね。赤ちゃんは自分の症状を自分で伝えられませんから。じっくり観察して、変化を感じ取ることの大変さを日々感じています。

衛藤:白衣を見ただけで怖がる子もいますし、泣いたり暴れて抵抗するお子さんの対応をは大変だなと感じます。でも自分だって子どもの頃は病院が怖かったですし、仕方がないですよね。

西林:ある程度大きくなると「叫んでもいいけど、動いたら危ないよ」みたいな声かけできるようになるよね。ただ大きくなれば楽というわけでもなくて、力が強くなるから大変な部分もあります。

衛藤:最近私が悩んだのは、思春期のお子さんとの接し方ですね…。

若山:確かに、思春期の子と仲良くなるのは大変ですね。素直に受け答えしてくれなかったり、やっといい関係ができたと思ったらいつのまにか距離ができていたり。私もいろいろ経験してきました。

衛藤:患者さんの成長を間近で見守ることができるのは、小児科医ならではの喜びですよね。いつのまにか身長が伸びていたり、ちょっとした会話が大人になっていたり、その子の成長を感じられるのが、やりがいのひとつです。

小児科医として大変なことや、やりがいに感じることを教えてください。

後藤:将来的に、大分で暮らして大分で働きたいと思っていたからです。他の病院の専攻医プログラムと迷いましたが、初期研修のときに当医局を選択することに決めました。
今年から大学病院で働き始め、当医局を選んで良かったと実感しています。先輩の先生方と構築した関係性が、これから大分で小児科医として働く際の支えになると感じています。

衛藤:私は入学時から地域医療に貢献したいと思っていたので、大分大学小児科の専攻医プログラムを選びました。在学中に当医局の尊敬できる医師に出会えたことが、私の気持ちを後押ししたということもあります。

西林:大分は都会と違って少人数だから、先輩医師の指導をしっかり受けられるのはメリットのひとつだよね。

5年後、10年後、どんな医師になっていたいですか?

後藤:目の前の患者さんに適切な対応ができる医師になりたいですね。そのときどきで最善を尽くせるように、着実に経験を積んでいきたいと思います。

衛藤:最近どんな医師を目指せばいいんだろうと悩むことがあるんです。でも、先輩医師のように、自分の仕事をこなしつつ、周りの医師を導けるような存在になれればいいなと思います。周囲に目標となる先生方がたくさんいるのはうれしいですね。今はまだ専門分野を決めずに、満遍なく勉強したいです。

教えて、先輩!先輩医師に聞きたいこと

衛藤:今の病院では大学で研修した内容と全然違う業務をしているので少し戸惑っています。これから慣れていけるでしょうか?

西林:施設によって役割が違うので、仕方がないよね。重篤な患者が多い施設では、一人一人をしっかり診ることが大事。市中病院では全体を回さなきゃならない。そのためには数をこなしつつ、気になる兆候を見逃さないことが大切。施設に応じた対応を学ぶ必要があると思います。

後藤:今までで辛かったこと、乗り越え方を教えてほしいです。

西林:重症度の高い患者さんを何人か同時に担当していた時は、検査や治療方針について悩むことが多くて、先輩医師にたくさん指導されたことがあって。
患者さんは治療で良くなったけど、自分だけではまだまだ未熟だってだいぶ落ち込んだなあ。ちょうど夏休み前の出来事だったので、休みの間にゆっくりして、気持ちを切り替えることで立ち直れました。

若山:そうですね。つらいことがあったときは、一旦仕事のことを忘れるのが一番かな。

後藤:私は歳の近い先輩方に相談することが多くて、若山先生にはたくさん助けていただきました。若山先生は日頃から現場で助け舟を出してくださったり、サポートしてくださったり。感謝しています。

衛藤:私も先輩方に助けられています。勤務地が離れた場所にありますが、医局の先輩方が「困ったことがあったら医局に電話しておいで」と明言してくださっているので心強いですね。実際、「こうしたら?」というアドバイスや、「その患者さんは大学病院で診るよ」などの助言をいただいています。

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