大分大学医学部小児科学講座

育休取得パパ医師
インタビュー

「仕事」と「家庭」を両立させたいのは、今の時代ママだけではありません。
小児科学講座の産休・育児支援制度の中で、
実際に育児休暇を取得したパパ医師の小林先生&玉井先生にお話を伺ってきました。

育休取得代表パパ 玉井 資、小林 修

お二人の先生に、育休を取得された感想をお伺いします。

- まずは先生方、それぞれの自己紹介や家族構成を教えてください!(取材日:2019年9月25日)

小林 : 医師としては10年目、現在は主に外来と病棟で業務を行なっています。子どもは4歳と5か月の2人です。育児休暇は、今年の5月に2週間取得しました。
こどもが1か月の時です。

玉井 : 僕は今年で医師6年目ですね。
病棟と外来で働いています。子どもは5歳と3歳、3か月前に生まれた赤ちゃんの3人です。
育児休暇は、子どもが1か月の時に、2週間取得しました。

- 育休を取ることは、いつごろから考えていましたか?

小林 : 子どもが生まれる数か月前から取得できると聞いていたので、出産の数か月前にはもう決まっていました。
上の子が幼稚園に通い始めて里帰りできなかったので、育児休暇があってよかったです。

玉井 : 僕も早い段階で育児休暇の取得は決まっていました。取れるって聞いたときに、「じゃあ取ってみよう」と。

小林 : 上司や同僚も後押ししてくれたので、ありがたく使わせてもらいました。
以前は育休の申請が面倒だったと聞いているんですが、今はかなり簡略化されているので手続きもスムーズでしたね。

玉井 : 職場に、医局員の育児を支援しようという動きがあるおかげですよね。ちなみに小林先生、育児休暇って自分もちょっと休めるかなとか思ってました?

小林 : ちょっとだけね。

玉井 : 私もです。
「ちょっと自分も休めるかな〜」って思ってたんですよ。
でもぜんぜん休めませんよね。

小林 : 育児休暇は「休暇」じゃなかったですね(笑)

育休中はどんな日々を過ごされていたのかを教えてください。

- 「育休」に対して、職場や家族の反応はどんなものでしたか?

小林 : 育児休暇取得に対して、職場は全面バックアップ体制でした。
申し送りも引き継ぎもしっかりしてくれましたし、上司が進んでフォローしてくれましたね。

玉井 : 全力でサポートしてもらった上での育児休暇なので、不安は一切ありませんでした。
妻は、私の育児休暇に「いい職場だね」「職場のみなさんに感謝しないとね」と言ってくれていましたね。

小林 : 私の妻も職場への感謝と、実際に私が妻をどれだけ助けられたかはわからないんですが、「本当にありがとう」と私への感謝の気持ちを伝えてくれました。

玉井 : 育休前の妻は「少しくらいはゆっくりできるかな」と思っていたみたいなんです。
でも実際は、「想像以上に休めてよかった」って。

育児休暇を取るからには妻を完全にオフにしてあげようという意気込みで臨んだんですが、期待以上だったんだと思います。

- 育児休暇を取ってみて、よかった!と思ったことを教えてください。

玉井 : 正直、育児休暇の「よかったところ」っていっぱいありすぎて、どれをお話したらいいのかわからないんですけど、一番よかったのは「本当の意味で子育て大変さがわかった」ところですね。

小林 : 育児って大変だろうなと思ってはいたけど、実際に経験してみると想像以上に大変でした。
今まで以上に、妻に感謝をするようになりましたね。

玉井 : 「育児を手伝う」という感覚ではなく、家族の一員として子どもと関わるようになりましたね。
育児休暇のおかげで、一日の流れがわかるようになったんですよ。 例えば、何時に散歩をしよう、ご飯を食べさせよう、買い物に行こう、お風呂に入れよう、と言ったスケジュール感がわかるようになったので、何か言われる前にさっと動けるようになりました。

小林 : 私も、最初は妻の指示を待っている状態だったんですけど、
子どもと過ごす時間が圧倒的に長いから、どんどん価値観や視点が変わっていくんですよね。
「指示待ち」から脱却して、率先して子どもや妻のために動けるようになっていきました。

玉井 : 僕は、育児休暇が終わってから妻が毎日お弁当を作ってくれるようになったことが嬉しいです。
今までも作ってくれていたんですけど、毎日ではなかったんです。それが今は毎日欠かさず。
育児休暇で、今まで以上にお互いを思いやって、支え合える夫婦になれたのかなと思っています。

- 逆に、育休のここが辛かった!と感じたことがあれば教えてください。

小林 : 子供が泣いてるときって、まずおむつを替えてみますよね。
それでも泣き止まなければ抱っこする。これで泣き止まなかったら、もう次の手がないんですよね。辛かったです(笑)

玉井 : おむつと抱っこで泣き止まなかったら、どうしようって困ってしまいますよね。
僕はミルクもあげてたんですけど、ミルクをあげてもだめなときがあって、申し訳ないと思いながら妻に託したことがあります。

小林 : 今回2人目の子どもなので、自分も育児慣れしているかなと思ってたんですよ。でも、そんなことはなかった。
逆に上の子がいる状態での子育ては、大変さが格段に違うんですよね。次から次に、やらなきゃいけないことが新しく湧いて出てくる感じです。

玉井 : 赤ちゃんのお世話をしながら上の子を保育園連れていって、ご飯を作って洗濯してお風呂入れてとか考えていたら、あっという間に夕方ですもんね。
正直「早く職場に戻りたい」って思ったこともあります。自分のペースでできる分、仕事のほうが楽な部分はあるかもしれないなって。

2週間の育休を終え、職場に復帰したときのことを教えてください。

- 育休を取る前と後で変化はありましたか?

小林 : 家族で過ごす時間がすごく増えました。
妻との時間も増えたから、一緒に苦労を分かち合えるようになったと思います。

玉井 : 育児休暇の後って、できるだけ早く家に帰ろうっていう意識が芽生えませんか?

小林 : 妻が家でがんばってくれているから、自分も仕事を早く終わらせて帰ろうって思いますね。

玉井 : 日中、仕事の効率をどんどんあげていって、遅くても19時までには家に帰ろうっていうスタンスに変わりました。
今までよりも、さらに仕事に全力を注ぐようになったと言うか。

小林 : 仕事にも家庭にも力を尽くすようになるから、男性も育児休暇を積極的に取ったほうがいいと思うんです。
職場の理解があってこその制度だとは思うのですが、妻や子どものためを思うならぜひ身を削ってでもやってほしいですね。
休暇ではなく、本気の育児で。

玉井 : 人間の根本って、なかなか変えられないと思うんですけど、
育児休暇の中でその人が持っている価値観がガラリと変わるんじゃないかな。実際、僕は変わりましたし。

- 育休取得により「小児科医」としてプラスになったことを教えてください。

玉井 : 僕たち医師は、患者さんのご家族とは基本的に病院でしか関わりを持ちません。でも、ご家族には、僕たちに見せることのない家庭での苦労や頑張りがあるのだろうと思うようになりました。
以前よりも患者さんのご家族を配慮した説明や声掛けができていると思います。

小林 : 育児の苦労は十分わかっていたつもりでしたが、全力で子どもと接する一日がどれほど大変かを知ることができたと思います。育児中の母親の大変さを考慮して、ご家族の方に接するようになりました。

玉井 : それから、子どもたちが日々どう過ごしているかがわかるようになったからこそ、自宅での家族指導にも説得感が増してきたんじゃないかなと思います。

- これから育休取得を検討している先生方へのアドバイスをお願いします。

小林 : 育児休暇中は、育児と妻を休ませることにに本気で取り組んでください。それから、「お手伝い気分」はNGです。

玉井 : そうですね、「お手伝い」は本当にダメだと思います、自分の家族のことですから。
それから、「自分が疲れた」じゃなくて、妻へ「お疲れ様」の気持ちを忘れないこと、「スマートフォンを触る時間を減らすこと」ですね。

小林 : 育児休暇は大変だとわかると、「そこまでがんばらないといけないのか!」って辛くなってしまう人もいるかもしれないですね(笑)

玉井 : でも、育児休暇を経験すると、家族をもっと好きになれますよ。
たとえ期間が1週間、数日と短かったとしても、取る価値は絶対にあります。これからも男性の育児休暇が増えていってほしいですね。


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