症状の重たい子が元気になっていく姿を見るのは嬉しいですね。経過がよくなった後、地元の病院で治療をすることになった患者さんが、「明日から幼稚園に行きます」と教えてくれたことがありました。そういうふうに近況を聞けたときが一番嬉しいですね。
嬉しいことがある反面、点滴や検査では苦労しています。大人だったら簡単に済むことが、子ども相手ではとても難しいんです。見えないし、細いし。管理も大変ですね。年齢ごとで対応が違うこともありますし、そういった部分では覚えないといけないことがたくさんあります。
今は自分の成長を感じるというよりも、こういう患者さんがきたらどうするかというのがわかり始めたような段階で、初期対応できる知識が増えてきたなとは感じています。
抽象的な表現になりますが、将来的には「患者さんとご家族の方に安心してもらえる小児科医」になりたいと思っています。この先生なら大丈夫だと思われるようになっていきたいですね。
小児科は患者さんの年齢が幼いので、「本当にこの処置は必要なのか」とご家族が不安を持たれていることがたくさんあります。どういう処置が何のために必要なのか、しっかりと説明して、ご家族の不安を取り除いていけるように心がけています。
医師、そして小児科医という職業を志したきっかけは
何だったんですか?
中学生のとき、担任の先生から「医師になれ」と言われたんです。どうして先生が僕にそう言ったのか理由は覚えていないんですが、そのとき僕の中で「医師」という選択肢が生まれました。あとは、祖母が体を壊してお医者さんのお世話になったときに、治療してくださる先生を見て「すごいな」と尊敬の気持ちを持ったのも理由のひとつです。
僕は家が医者の家系というわけではなく、僕自身も大きな病気や怪我はしてきませんでした。これまでの人生の中で、僕がお世話になったことがあるお医者さんというのが、小児科の先生くらいなんです。お医者さん=小児科医のイメージだったので、小児科医を希望する気持ちはずっと持っていました。