大分大学医学部小児科学講座

私が小児科医になった理由

研修医 河野史佳

河野先生はなぜ「医師」という職業を
目指そうと思われたんですか?

私の場合は「医師」という仕事を選択するにあたり、自分の人生の中で大きなイベントがあったというわけではないんですよね。
学生時代に「この職業につきたい!」という大きな目標などもなくて、とにかく今できる勉強はしておこう!という思いで毎日を過ごしていました。そんなときに、
周囲から「大分大学医学部を受けてみたら?」と薦められたのがキッカケです。

母の影響かもしれませんが、仕事をする後ろ姿を見てきて、ずっと長く続けていける仕事をしたいなという憧れはありましたし、いつかは地元に貢献できる職につきたい、誰かに必要とされる仕事がいいなという想いもありました。
そのような想いが「医師」という仕事を目指す後押しになっていたのかなと振り返ってみると思うときはありますね。

「医師」という職業の中でも「小児科医」を選択されたのはキッカケがあったんですか?

そうですね。
研修医の時にいろいろな科をまわって、患者さん、先生たちと触れ合う機会を多く得ることができました。
どの科も魅力的だったんですが、小児科で働かせてもらった時に、子どもの素直さや元気になった時の笑顔に惹かれて、
小児科医を選択しようと決意しましたね。
大人を診るのとは違い、採血一つするのも大変なんですが、退院の際に元気になって大きく手を振りながら「先生バイバーイ」と笑顔で言ってくれる時の嬉しさは、小児科でしか味わえないのかなと思います。

それからもう1つ大きな理由があってですね。
それは小児科で働いている先生方がとても魅力的だったんです(お世辞ではないですよ。笑)
小児科というのはとても幅広い知識を求められる科なんですが、その知識と経験を兼ね備え、それを丁寧に教えてくれる先生たちを医師として本当にかっこいいと思ったんです。
いつかは私もここで働きたい!この科のメンバーになりたいと思ったのも大きなキッカケでした。
(結構周りの環境に左右される性格なので、良い環境に身を置きたかったという理由もありますが…)

小児科医になってどのような苦労がありましたか?

どのような仕事も同じだとは思いますが最初の3年間は右も左も分からずきついこともあるのかなと思ってます。いろいろありすぎて何から伝えて良いかはわかりませんが、前向きな性格なのでコミュニケーションに関しては苦労はしていないですね。笑

ただ、苦労というよりも不安を感じる部分はあります。
お子さんの担当になった際に、その子のお母さんに対しての説明や、どういったプロセスで治療を行い退院させて、どのようにフォローをしていくかなど、ひとつひとつのことに対してまだまだ経験がないため不安を感じることはあります。

でもこればかりは時間と経験、コツコツ勉強しながら自信をつけていくしかないと思っています。

これまでで一番うれしかったエピソードを教えてください。

NICUを中心に仕事をしているんですが、入局したての頃というのは点滴をすることもできなかったんです。
最近はだいぶ慣れてきて仕事の幅も増えてきたんですが、ある当直の時にひとりの患者さんを任された事がありました。
担当の先生も別の患者さんの対応で忙しく、担当を任されたんですが、その患者さんの治療が一からすべてうまくいったんですよ。任されるということも嬉しかったですし、私自身のひとつめの成功体験ができたことはすごく嬉しかったですね。

最後に、どのような小児科医を目指しているか教えてください。

研修医の時に小児科に関係なく地域医療を地元で経験する機会があったんですが、それまでは地元の医療がどのようになっているか
全然知らず…それまでは地元は高齢者が多いし、医師も高齢化してるのではと勝手に思い込んでたんです。ですが実際は40代くらいの先生や、私の後輩の看護師さんがすごく頑張っていたんですよ。知り合いが頑張ってると本当うれしくなりますよね!

そんな姿を見て、私もしっかりと今できることをやって経験を積まないといけないなと改めて思いましたし、
いつかはこの人達と一緒に働けたらなと思うようになりました。

何年後になるかはわかりませんが、将来は地元の竹田市に戻って、地域医療に貢献できる医師になりたいと思っています。