今は、NICUで新生児をみています。NICUに入って二日目に、帝王切開の立会いをしたんですが、産まれてみると赤ちゃんの心臓が悪くて、翌日福岡の病院へ移っていったことがありました。想定外の事態で、そのときは見ていることしかできなかったのですが、「自分の仕事は、産まれたての命をつなぐことなんだ」と実感して、気が引き締まりましたね。
私にとって、病気で苦しんでいる子どもたちを見るのは、とても辛いことです。
でも、元気になって「バイバイ!」と笑顔で手を振って帰っていくお子さんや、嬉しそうなご両親を見るたびに、「小児科医を選んでよかった」と心から思います。
小児科医には「町のお医者さん」というイメージがあるんです。患者さん、親御さんから身近に感じてもらって、ちょっとした風邪や体調不良で気軽に頼ってもらえるような、地域に根ざした小児科医になっていきたいですね。
先輩に、すごく子ども好きで、患者さんと仲良くなるのが上手な先生がいらっしゃるんです。ちょっとした時間で子どもに積極的に関わって、患者さんも先生に心を開いている姿を見ていると、「こんな小児科医になりたいな」と思います。その方が、今の私の目標ですね。
自分ひとりではまだまだ未熟な部分も多く、上級医の先生方や親御さんのご協力が必要だと感じています。ひとりでも多くの子どもたちの助けになれるよう、がんばっていきたいと思います。
医師、そして小児科医という職業を志したきっかけは
何だったんですか?
父が歯科医、母が看護師という家庭で育ち、医師という職業をぼんやり意識はしていたんですが、中学生くらいのころテレビのドキュメンタリー番組で活躍している医師の姿を見て「かっこいいなあ」と思ったんです。それが、「医師」という職業を、将来の道として志すことになったきっかけだったと思います。
小児科を選んだのは、子どもが好きだったという理由もあるのですが、学生時代の実習のとき、患者さんの笑顔を見て「子どもの笑顔ってなんて素敵なんだろう」と思ったことがきっかけです。診療や治療の合間で、患者さんが見せてくれる笑顔に、心を奪われてしまいました。
どの科にも魅力あって悩んだのですが、「子どもの笑顔に勝るものはない」という想いから、小児科医の道を選びました。